こんにちは!
ドローンビジネスラボラトリー(通称ディーラボ)です。
昨年(2023年)末、国道交通省より無人航空機(ドローン)の飛行レベル1~4に加え、新たに「レベル3.5飛行」という飛行レベルが新設されることが発表されました。
レベル3.5?
新しい概念だね…!
そうなんです!
これにより、今までよりも効率的なドローンの運用が行えそうですよ。
本記事では、新設されたレベル3.5飛行について詳しく解説していきます。
- そもそもレベル3.5飛行とは
- その前にレベル1~4とは
- 具体的にレベル3とは何が違うのか
ドローンのレベル3.5飛行とは
レベル3.5飛行とは、「レベル3と4の間にある飛行レベル」というよりも、レベル3飛行の飛行要件の緩和として設定されたものです。
ええ!?
しょっぱなからわけが分からない!
レベル3以上4未満みたいなことじゃないの?!
ちょっとこの概念が複雑なんだけど、要は「レベル3飛行なんだけど、ちょっと飛行要件を緩和したよバージョン」ってことなんです。
レベル3.5飛行の最大のメリットは【レベル3飛行において3つの条件さえ満たせば、立入管理措置が不要になる】という点です。
レベル3飛行って、どういうレベルだっけ・・・
ここで飛行レベルについておさらいしておきましょう。
飛行レベル1~4までのおさらい
上の図のとおり、レベル3飛行とは無人地帯での目視外飛行のことです。
レベル3飛行(無人地帯での目視外飛行)を行う際に、3つの条件さえ満たせば、立入管理措置が不要になるというものがレベル3.5飛行なのです。
無人地帯であっても、飛行エリアの周囲に補助者や看板を設置して立入管理措置を講じたり、道路や鉄道の上空を横断する際一時停止し、下に車両などがないかを確認することなどけっこうなハードルがありました。
そういうわけで、事業者の皆さんからは「これじゃ運用しづらいよ!もうちょっと緩和してよ!!」というご意見はけっこうあったんじゃないかと思われます。
そんなわけで新設されたのがレベル3.5飛行、ということですね。
でも3つの条件って?
またそれがけっこう厳しい条件なんじゃないの?
それじゃあんまり意味ないよね…(笑)
レベル3.5飛行は、比較的現実的な条件で飛行要件が緩和されます!
順番に説明していくね
その3つの条件というのは以下のとおり。
- 技能証明(国家資格)の保有
- 保険への加入
- ドローンのカメラによる歩行者の有無の確認
ドローンのカメラによる歩行者の有無の確認…?
本当に無人地帯か、地上に人や車・電車が通過しないかを物理的にドローンのカメラで映して確認するってことだね!
ということは、ドローンのカメラで無人地帯であることを確認しながら飛ばすから立入管理措置は不要になるってことなの?
そのとおり!
だから飛行要件緩和になるんです。
レベル3.5飛行について
3つの条件をクリアすることで緩和される(省略できる)のは下記4点です。
- 立入管理区画を設定した場合は、当該立入管理区画に立看板等を設置するとともに、インターネットやポスター等により、問い合わせ先を明示した上で上空を無人航空機が飛行することを第三者に対して周知すること
- 立入管理区画に道路、鉄道、家屋等、第三者が存在する可能性を排除できない場所が含まれる場合には、追加の第三者の立入りを制限する方法を講じること
- 地上において、進行方向の飛行経路の直下及びその周辺への第三者の立ち入りの有無を常に検知できること
- 飛行経路には道路、鉄道、家屋が密集している場所がないこと
ごめんなさい…
読む気が失せます…
ですよね(笑)
文章で書くと長すぎて、なんのこっちゃですね…
文章では分かりづらいので、レベル3飛行とレベル3.5飛行の違いを表にするとこんな感じ。
要件 | レベル3飛行 | レベル3.5飛行 |
---|---|---|
立入管理措置 | 必要 | 不要 |
道路・線路横断時の一時停止 | 必要 | 不要 |
機体認証 | 不要 | 不要 |
技能証明(国家資格) | 不要 | 必要 |
保険加入 | 不要 | 必要 |
機上カメラによる歩行者等の有無の確認 | 不要 | 必要 |
今までのレベル3飛行では必要だった
・無人地帯であったとしても、飛行エリアの周囲に補助者や看板を設置
・道路や鉄道の線路の上空を横断する際一時停止し、下に車両などがないかを確認すること
以上2点が、レベル3.5飛行では不要になりました!
①技能証明を持っていて
②ちゃんと保険に入ってて
③対象になるドローンのカメラで地上に歩行者がいないか映して確認できれば
立入管理措置や一時停止が不要になるってことだね!
そういうこと!
すでに技能証明を持っている人の価値が向上しましたよね(笑)
このことで今までは条件的に難しかったドローンでの物流や、広域に及ぶ点検作業も行いやすくなることが予想されます。
こうしてドローンの活躍の幅を広げていきたいのが政府の狙いでもあります。
レベル3.5飛行ができた背景
レベル3.5飛行が新設された理由とは
ところでレベル3.5飛行はなぜ新設されたの?
既に国家資格を取った人から「メリットが少ない!」ってクレームがきたのかな?(笑)
良い質問ですね!
それはズバリ「無人地帯でのドローン活用、つまりレベル3飛行の促進」をしていきたいという政府の願いから、ということになるでしょう。
もちろん最終的にはレベル4(有人地帯での目視外飛行)を目指していますが、まずは無人地帯です。
レベル3.5飛行の新設には、
運送業界の深刻な人手不足
事業者は「ドローン配送」を積極的に行い解決策としたい
国交省が「規制緩和」としてレベル3.5飛行を新設
という背景があります。
≫参考:カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について(国土交通省航空局)
技能証明(国家資格)の価値も向上
また、技能証明(国家資格)の効力があまり発揮できずにいた方たちにとってもレベル3.5の新設は嬉しいニュースです。
やっぱり、機体認証のハードルが高いのと、型式認証を取るドローンメーカー予想以上に少なくて、このままでは技能証明(国家資格)を取得するメリットが乏しいという事情は実際あると思います…
せっかく国家資格を取ったのに機体認証がハードルになってたもんね
そうなんです。
型式認証を取るドローンメーカーがかなり限られているから、これまでは国家資格のメリットが難易度のわりには少なかったんだよね…
ですが、レベル3.5飛行の要件には機体認証が含まれません。
技能証明を持っていたら、機体認証も立入管理措置もなしで目視外飛行ができるのです。
頑張って取得された皆さんの国家資格の価値が向上しました!
これは我々スクールとても喜ばしいことです。
レベル3.5に対応するDJIの機体
趣味でのユーザーから業務で利用する人まで、多くの方が愛用するDJI製のドローン。
世界のドローン販売シェアNo.1を誇ります!
残念ながら2024年現在、DJIが日本の型式認証を取るという話は出てきていませんが、レベル3.5飛行への対応として、DJI製品のうちどれが対象となるのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
以下にDJI製品のうちレベル3.5飛行の対象となるものを一覧にしています。
一般向けドローン
- DJI Mavic 3 Pro/DJI Mavic 3 Pro Cine
- DJI Mavic 3/DJI Mavic 3 Cine
- DJI Mavic 3 Classic
- DJI Air 3
- DJI Inspire 3
産業用ドローン
- Matrice 350 RTK
- Matrice 300 RTK
- Matrice 30/Matrice 30T/Matrice 30(Dock版)/Matrice 30T(Dock版)
- Matrice 3D/Matrice 3TD
- DJI Mavic 3E/DJI Mavic 3T/DJI Mavic 3M
※参考:DJI製無人航空機のレベル3/3.5飛行への対応について(DJIメディアセンター)
農薬散布用ドローンやminiシリーズは対象外なので注意が必要です!
レベル3.5飛行|その他のポイント
今回のレベル3.5飛行新設に合わせ、国交省ではDX化(システム改修)が行われ、2024年度内にはレベル3.5飛行の飛行許可・承認申請が1日で完了できる体制を目指す、ということが発表されています。
現状の特定飛行の飛行許可・承認申請にはだいたい10開庁日ほどかかっていますから、これは大幅な短縮です。
レベル3.5飛行以外の申請はまだ短縮化されないの?
まずはレベル3.5飛行についてDX化(システム改修)を実施すると発表されているので、それ以外の飛行形態については未定です!
今後、DIPSでのすべての手続きが短縮化されることに期待しましょう!
レベル3.5飛行を行うために技能証明(国家資格)を取得しよう!
レベル3.5飛行の新設によって、取得価値が向上した技能証明(国家資格)。
取得しなくても、これまで通り許可承認を得ることで飛行させられること、許可承認なしで飛行させるためには結局機体認証が必要になってくることなどがハードルになり、技能証明の取得を足踏みしていた方は多いのではないでしょうか?
さらに活用の場が広がることが期待されるドローン。
ドローンビジネスラボラトリーは技能証明(国家資格)の取得講習を実施する登録講習機関です。
取得をお考えの方はぜひ、お問い合わせください!
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